マンションの玄関を断熱DIY

玄関を断熱DIY

今回は、古いマンションの玄関まわりを断熱DIYしていきます。

うちのマンションは築年数が古く、北側に面した玄関はとにかく寒い。年中冷たいタイル土間、外の寒さをそのまま内へ伝える鉄製ドア、パッキンの劣化によるすき間風などなど、改めて考えると問題だらけでした。

このままだと暖房の効率も悪くなるので、電気代節約のためにも、床とドアの冷気をDIYにてシャットアウトしていきます。

施工前の状況

まず施工前に我が家の説明ですが、RC(鉄筋コンクリート)のマンションで、上下左右にお隣さんがいるので最上階や角部屋よりも暖かくなりやすい環境です。また、全ての窓は後付けで二重窓にリフォームしているほど断熱にも気を使っています。

玄関ではありませんが、断熱性が高いと言われている桐の無垢フローリングを全面に敷いているので、他の部屋が暖かい分、玄関だけが特別寒い空間に感じるんですね。

断熱性が高い桐のフローリング

玄関土間の現状

床面はクッションフロアではない硬ーい150角タイルが貼られており、コンクリートを介して外の冷気を室内に伝えてきます。

タイルと言ってもよくあるオシャレな石材風とかではなく、妙につるっとしてるのにくすんだ色でオシャレと対極にあるようなもっさいタイル。掃除機をかけるとローラーがガリガリと甲高い音をだすのも苦手でした。

ドアの現状

玄関ドアは中が空洞の熱伝導率が高い鉄製なので、いつも外と同じくらいキンキンに冷えています。対して室温は暖かいので、その温度差により結露が発生して濡れてしまうことも。

今はあまり見なくなった扉にポストが付いているタイプで、へこみや塗装の剥がれ、建付けのゆがみまであるのでさすが数十年前のシロモノという感じです。

数十年前の玄関ドア

おまけに扉のパッキンも劣化しているので、換気扇を付けるとものすごい勢いですき間風が入っていきます。

床の断熱

床は断熱と合わせて、タイル土間の見た目も一新していきます。

現状の玄関床タイル
施工前の床の写真撮ってなかったので、DIY途中のギリギリ写ってたやつを。

ただ、ドアのフレーム?のような部分がタイル土間よりも4ミリくらい高くて、そのフレームの高さに合わせないといけないっぽい。玄関床は土足でガシガシ使われる場所なので、そのフレームよりも断熱材を高く貼ってしまうと、靴が引っかかってすぐにボロボロになりそうだから。

玄関の断面図

また、断熱材は衝撃に弱いので、傘やヒールの靴など凸状の物が当たるだけで簡単に穴が空いてしまいます。なので、断熱材を土足で踏んでも耐えられるような仕上げ材で保護する必要があります。

つまり、断熱材と仕上げ材の2つ合わせて4mmまでというかなり厳しい条件となりました。

玄関タイル土間に使った断熱材

そして薄い断熱材を探して行き着いたのがこれ。ニトリで売っていた厚さ2mmのアルミシート。

厚さ2mmのアルミシート

発泡ポリエチレン層にアルミ蒸着フィルムが貼られた良くある保温シートで、厚さ2mm程度の断熱材で探すと選択肢がこれしかありませんでした。まぁ値段も安いし、これを仮に敷しいてみて素足で立ってみると、かなり冷たさは緩和されたので効果はちゃんとありそうです。

施工についてはまず、床に細かな砂などが残っていると接着が弱くなるので、キレイに掃除するところから始めます。

掃除が完了したら、仮でアルミシートを敷いて型取りカッターでカット。薄いのでハサミ・カッターで簡単にカットできるため、入り組んだ部分も特に苦戦することなく簡単に施工出来ました。固定方法は、何かあってもすぐ現状復旧できるように、剥がせるタイプのスプレー糊で貼り付けました。

使用したのりはこちら。スプレータイプはまんべんなく塗れるのでおすすめ。

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アルミシートの貼る向きですが、アルミ面を室内側になるように貼りました。アルミ面は熱を反射するという説明をどこかで見たので、室内側の熱を跳ね返してもらえるようにという考えで向きを決めましたが、正直どっちでも効果は変わらないと思います。

玄関タイル土間の仕上げ材

そしてアルミシートの上には、同じくニトリのタイルカーペットを選定!

厚みを測ると2~3mmだったので、1mmくらい飛びだすけどギリ許容範囲です。

タイルカーペットを選んだ理由については、土足部分でもよく使われるほど耐久性には定評があること、何よりもパイル生地が付いているので、あのタイルに立った時の冷たい感触が緩和されると考えたからです。

ただ、毛足の長いタイプは砂が入り込んだら掃除が大変そうだったので、オフィスで使われていそうな硬めで短毛のタイプを選びました。

タイルカーペットは毛の向きがありますので、同じ向きに揃えないように市松貼りが基本です。土台部分が固く切るのが少し面倒ではありましたが、素人でもカットからスプレー糊で貼り付けるまで特に難しいことはありませんでした。

玄関にタイルカーペットを敷く
選んだ色は無難にグレー。多分汚れも目立ちにくそう。

仕上りは、アルミシートとタイルカーペットの2層になったことで歩いた時にふわふわするかと心配していたのですが、意外にしっかりしてずれるようなこともありませんでした。

ドアの断熱

本当は扉ごと交換したいところですが、値段がまず高いし許可とかとるのも大変そう。ということで、断熱材を直接ドアに貼って対策することにしました。

そして、ドアの外側か内側どちらに貼るかですが、外の環境は過酷なので、劣化やダメージを最小限に抑えるためにも内側で進めることにします。あとご近所さんとかにはばれたくないですしね…。

玄関ドアに使った断熱材

床よりも冷たい玄関ドアには、アルミシートよりも性能が高い素材で断熱したいので探しました。

そこで見つけたのがザ・スリムという断熱材。

ザ・スリムの価格
ザ・スリムの特徴
  • 薄くて断熱性に優れています。
  • 軽量で取扱いが容易
  • 水や水蒸気を寄せつけない
  • 加工(カッターナイフ等)が容易
  • 表面は滑らかで対象物を痛めない

ドアはよく結露していたので水に強い点と、薄くても断熱性に優れているというところがポイント。何より安かった。

4、7、10mmとバリエーションがあったので非常に悩んだのですが、一番薄い4mmタイプを選びました。単純に厚くなれば値段は高くなりますし、施工時の難易度も上がります。効果が薄ければ厚いものに交換か、あるいは重ねればいいと考ました。

4mmのザ・スリムを扉に貼ってみた

断熱材は両面テープで貼るだけなので、剥がれてこないようにドアの清掃して、さらにアルコールで脱脂をして貼り付けていきます。その際、ドアの塗料が両面テープで剥がれないかをチェックした方がよいでしょう。現状復旧で断熱材を取るときに塗装も一緒に剥がれる可能性があるためです。

ドアの周囲のフレーム部分も金属がむき出しになっているので、可能な限り冷たい部分を覆うように断熱材を細かく貼っていきました。

ドアにはノブ、鍵穴、チェーンロック、ドアクローザー、ポストなど突起物が多いため、その形にカットするのが大変でした。

ザスリムの細かな納まり

ポストは、投函物が床に落ちてもいいので室内側の受け部分を取り外します。最初はポストの口の部分だけ断熱材を切って開けていたのですが、ここからのすき間風が半端なかったので塞ぐことにしました。

口金から断熱材の部分まで少し空間があり、不在票などはそこにクシャっと入れられるので、まぁ最低限のポスト機能は果たしています。ポストの機能性よりも家が暖かくなる方がいいと思ってやりました。

扉についている口金もザスリムで塞ぐ

玄関ドアに使った仕上げ材

実は、部屋内だし断熱材丸見えのままでもいいかと放置していたのですが、家族からみっともないから何とかしろとブチギレされてしまいました。

玄関ドアにザ・スリムを貼ったところ

色さえ変えられれば良かったので、一番安上がりな100均のリメイクシートを貼ることに。

北側で窓も無いためいつも暗い玄関を少しでも明るい空間にする為に、当時ダイソーで販売されていた中で一番白かったこのシートを選んだのですが、家族からは『なんでこんな変な木の柄が入ってるやつ選んだの!?』と再びブチギレされたのは良い思い出です。

玄関ドアにリメイクシートを貼った

色や柄は同居している人に相談してから購入しましょう!

ちなみに、メイクシートには何の断熱効果もありません。

パッキン追加で隙間風をブロック

ドアの表面に断熱材を貼り付けても、ドアの縁からのすき間風は防げません。

恐らく建築されてから数十年メンテナンスされていなかったため、パッキンが劣化しているようで換気扇を付けるとすき間風がビュービュー入ってきます。

まずパッキンをキレイに掃除。結露でカビが繁殖しやすい環境だったのか、何度拭いてもぞうきんが真っ黒になりました。

パッキンをよく観察すると、すき間風が出ている所は割れが発生していることと、扉とパッキンとが密着していない部分があることが分かりました。部分的だったので、そのすき間風があるところだけに新品のパッキンで厚盛することにします。

玄関ドアにすき間風防止のためパッキン追加

既存のパッキンを剥がさず再利用したため、扉とパッキンを完全に密着させることが難しく、換気扇を付けて負圧を掛けると微妙に入ってくる風は止められませんでした。ただ、それは二重サッシですら完全に止められていないので、玄関ドアだけ完全に直ったところであまり効果は変わらないため、ある程度直ったらOKとしました。

効果と費用

完成図

私の場合、玄関断熱をするとこんないいことがありました。

  • 部屋の暖まった熱が冷めにくいので暖房費の節約になる
  • 玄関の温度差が緩和されヒートショックの予防にもなる
  • 断熱ついでにドアや床を好みの色にコーディネートすることができる
  • クッション性のある断熱材を貼ると、その分ドアや床が厚くなるため防音にも少しだけ寄与する

ほんとにいいことばかりなのですが、賃貸などで引っ越す際にはきちんと解体して原状復帰できるよう、剥がせるテープや接着剤を使うのがポイントですね。

玄関断熱DIYにかかった費用

今回購入した材料費は大体で6205円。内訳は下記の通りです。

タイルカーペット9枚 2691円
アルミシート1枚 398円
ザ、スリム3枚 1116円
3M スプレーのり55 1本 1500円くらい
両面テープ1本 500円くらい

5~6千円で玄関が冷たい空間で無くなるのであれば安いものです。冬は冷気を遮断してくれますし、夏は冷房の効きを良くもしてくれるので、一年中役に立つのですから。しかも、高度な技術は全く必要なく誰でも簡単に出来るという点もおすすめポイントです。対費用効果は抜群なので、玄関周りの断熱DIYはかなりおすすめできますね。

玄関断熱DIYのビフォーアフター

赤外線の温度計で測定してみました。

外気温8.1℃ 室温18.6℃のとき、

扉の表面温度 13.7℃→16.8℃

床の表面温度 14.4℃→17.4℃

DIY前と比べておよそ3℃上昇しました。たった3℃かよと思われるかもしれませんが、体感的には玄関だけがヒヤッとすることはなくなりましたので、3℃という温度は大きいのだと思います。

さらに厚い断熱材を使っていればもう少し伸びる気もしますが、作業性やメンテナンス性が少し犠牲になるので、個人的には今回のチョイスが今のところベターだったと考えています。

すき間風が無くなったという点も大きいです。実はこれを施工したのが約1年前で、すでに1シーズン過ごしたのですが、この冬にエアコンを使ったのは片手で数えられるくらいしか使いませんでした。少し着込む必要がありますが、ほぼ暖房無しの暮らしが可能になったことは大きいです。

玄関にタイルカーペットは汚れる?

汚れた靴で歩くとカーペットなんですぐ汚れちゃうんじゃないかとちょっと心配じゃないですか?

実際使ってみて、めっちゃ汚れにくいと思いました。いや、厳密には泥や砂なんかの汚れは付くにはつくのですが、掃除機で吸うと簡単に綺麗になります。

雨の時などでも傘や靴に着いた水分程度ならへっちゃらですし、パイルが潰れることもありません。オフィスなんかでも良く使われているくらいなので、さすがの耐久性だなと感じました。

問題点

家全体の平均温度も明らかに上がり効果に喜んでいたのですが、問題点も出てきました。

それは断熱材を貼れなかった部分の結露です。

恐るべしヒートブリッジ

具体的には、外気温程度まで冷やされてたドアノブ、鍵穴、ドアクローザーの部分でヒートブリッジが起きて、室内との温度差により室内側で結露してしまうのです。

全て可動部で断熱材が貼れないところなので、どうしたらよいのかまだ良い解決策が思いつきません。良いアイディアがあれば教えてほしいです。

今後の課題が残りましたが、部分的ですし今までのようにドア全体がびちゃびちゃになるわけではないので、次のシーズンまで様子見でも良いかなと今は考えています。