窓の断熱をDIYで三層構造にしてみた【既存窓+内窓+断熱シート】

2017/12/20

窓の断熱をDIYで三層構造にしてみた【既存窓+内窓+断熱シート】

部屋の断熱性を高めるために、冷気が大量に流入してくる”窓”をDIYで三重構造にしてみました。

 

寒ければ暖房を入れて暖めればいいという意見もあるかと思いますが、暖房を強く入れることによる空気の乾燥や窓の結露、電気代のコスト増という諸問題があるため、出来れば暖房は最小限に抑えたい。

 

そこで、熱の出入りの大半を占めるという窓に着目し、その窓から入る冷気を【既存窓+内窓+断熱シート】三層の組み合わせで徹底的に断熱してみました。

断熱対策イメージ(断面図)
三重構造イメージ

今回の窓断熱の理屈はこんな感じです。

 

窓を三層構造にする対策方法のほかにも、窓からの冷気を何とかしたい!という方に向けて、気になった商品なども紹介していますので、どうぞ最後までお付き合いよろしくお願いします。

 

一層目:既存窓

一層目は元々付いている窓のことで、この窓のおかげで明かりを取り込みながらも雨風がしのげるのです。

しかし、こと断熱に関しては、既存窓だけでは満足する性能に至っていないことがほとんどなのが現実。

窓から寒さはやってくる

窓からの熱の出入りは58%

室内で熱の出入りが最も激しいとされるのが【窓】で、普通の一枚ガラスのアルミサッシの場合、約6割もの室内の熱を逃がしてしまっていることをご存知でしょうか。

それは次の2点が問題であることが原因です。

窓の隙間がある(気密性の問題)

最新式でない窓には目に見えない”隙間”がたくさんあります(窓を閉めて換気扇を全開にするとよくわかる)。その構造上仕方のないことなのですが、放っておくとその隙間からどんどん熱が逃げ、冷気が入ってきてしまいます。

窓が冷たい(断熱性の問題)

ほとんどの窓がアルミとガラスで構成されていますが、アルミは熱を放熱させるためのヒートシンクとしても使われるような素材で、高い熱伝導性を持つため外の冷たい冷気を室内へ伝えやすい素材と言えます。

ガラスもアルミほどではないですが、木よりも6倍も熱を通しやすい素材ということで、窓自体が熱を閉じ込めるのには適さない素材で出来ているので、断熱性能が悪くせっかく温めた空気を冷やしてしまいます。


 

このように、通常の窓では次々と冷気が部屋に入ってくるので暖房効率が非常に悪くなります。このまま無対策でいることは、冬の部屋に冷房を入れているようなものといっても過言ではありません。

逆に考えれば、窓から熱が逃げないような対策をとれば、室内の温度は飛躍的に向上することになります。

ではどんな対策をしたら窓から熱が逃げなくなるのでしょうか。

 

空気の層を作ること

窓に空気の層を作る

暖房器具に頼らない寒さ対策では、熱を伝えにくい『空気の層』を作ることがとても大切になってきます。

空気はガラスと比べて42倍、アルミに至ってはなんと1万倍も熱が伝わりにくいという、断熱性に大変優れた特徴を持っています。

そんな熱を伝えにくい空気を窓に何層にも作ることで、室外の冷気をシャットアウトし、室内の暖気を部屋に留められるので、ちょっとの暖房でずっと暖かいという省エネな空間を作り出すことが可能になります。

ということで、密閉性の高い空気の層を作ることを心がけて対策していきます。

 

二層目:二重窓(内窓)

二重サッシの説明

ここで言う二重窓とは、今ある窓の内側にもう一つ付ける窓のこと。

大手サッシメーカーの中では、LIXIL(インプラス)、YKK(プラマードU)、三協アルミ(プラメイクE2)が主要な製造元になっていますが、今回私が選んだのはLIXILの『インプラス』という商品です。

この大手3社であれば性能的には大差ないので、どれを選ぶかは値段や好みで決めてしまいましょう。

では次に二重窓の効果やデメリット、取り付け方を見ていきます。

 

二重窓にするメリット

二重窓はメリットだらけ!

取り付けられる環境にあって、予算が許すのであれば強力におすすめします。

断熱効果

二重窓による断熱効果は、冬の暖房の効果を上げるばかりではなく、夏の冷房効果も飛躍的に向上させますので、一年を通じて快適に過ごすことができます。

メーカーによれば、冷暖房費を一年で16,670円節約できるそうです。

防音効果

室内外からの音を低減してくれます。

私の家の近くには線路があるのですが、既存窓だけだと電車の音が聞こえるのに内窓も閉めると全く聞こえなくなります。雨が降っている音も聞こえません。

結露抑止効果

私の部屋は北側の一番冷える部屋だったので、いつも窓がびしょびしょに濡れていましたが、二重窓にしてからは一度も結露しているのを見たことがありません。

水気が無くなったので、カビも生えなくなりました。

防犯効果

内窓にも鍵が付いており、泥棒にとっては窓の鍵を2回開けないと中に入れないため手間がかかり侵入を諦めやすいそうです。

簡単施工

インプラス施工要領

私は工事費を節約するために、DIY(自分だけで)で取り付けました。

説明書が1枚のペラ紙しかないほどの単純な設計になっているので、寸法さえ間違えずに発注できていれば自分でも簡単に取り付けられてしまいます。

ただ、取り付けられない特殊な窓形状だったり、DIYに慣れていないと致命的な失敗をする場合もあるので、購入前に一度は専門店に相談された方がいいとは思います。

資産価値が上がる

先日、不動産会社の人に来てもらい家(マンション)を査定してもらったのですが、同じマンションの他の部屋よりも高く査定してもらえました。

話を聞くと、二重窓は人気が高いらしく評価項目に入っているそうです。

 

デメリット

メリットに比べれば霞んで見えてしまうデメリットです。

窓を二回開ける必要がある

窓を開ける際は確かに一回開ける手間が増えるのですが、そんなに頻繁に開け閉めするものでもないですし、私の場合はまったく気になりません。

デメリットに入れるまでもないと感じていますが、人によっては気になるかもしれないので一応。

賃貸では取付出来ない

これはどうしようもありませんね。

内窓取り付けには、枠をビスで留める必要があるため賃貸では許可されることはないでしょう。

比較的高価

窓本体だけであればそれほどでもありませんが、工事費も含めると結構な出費になってしまいます。

しかし、メリットで上げた断熱性能のおかげで月々の光熱費が1.6万程節約できるということなので、ゆくゆくはペイ出来ます。

 

インプラス(内窓)の取付

本当はインプラスの取り付けから紹介したかったのですが、内窓を取り付けたのは2年ほど前で写真が残っていませんでした。

ただ、窓の取付けですが個人的にはとても簡単で、取付説明書もたったの二ページだけのシンプルな作り。ある程度DIYになれている人であれば、それほど難しい作業ではないでしょう。

 

一番の肝は、現場に合った正確な寸法で発注すること。あと、ビスを打ち込むところが多いので、道具はインパクトドライバー必須です。

Amazonでベストセラー1位のインパクトドライバーで私も使っています。DIYするなら持っておきましょう。

 

三層目:断熱シート(プチプチ)

巷にはいろんなタイプの断熱シートがありますが、やっぱり安定した性能と低価格さを兼ね備えたコスパがいい断熱シートはこのタイプです。

いわゆるプチプチ(エアーマット)と呼ばれる小さな気泡がたくさん付いているシートです。

あまり知られていないのですが、このプチプチには断熱用と緩衝材用とで2タイプありまして、今回使いたいのは断熱用のプチプチですので注意してください。

 

緩衝材で使われるプチプチは効果が低い

梱包する際に緩衝材としてエアーマット(プチプチ)が良く使われますが、これを窓の断熱用に利用するのはあまりおすすめしません。

断熱シートと梱包シートの違い

上記図のように、梱包用のプチプチはビニール面が片面だけで二層構造になっていません。

一方窓専用のタイプは、丸い空気の玉を両面から挟み込む形をしており、間に空気の層を作ることが出来る断熱性の高い二重構造となっています。

せっかくやるなら効果が高い方を選びたいですね。

 

二層構造の断熱シートアップ写真
断熱シートの二重構造

 

ガラスに貼るだけでは足りない

窓ガラスだけに断熱シート

写真のように、断熱シートを窓ガラス部分のみに貼るだけでは効率よく冷気を止めることはできません。

なぜなら、ガラス部分よりも枠のアルミ部分の方が200倍も熱を通しやすいため、外の冷気をそのまま室内へと伝えてしまうからです。

サッシ枠からの冷気を防ぎたい場合は、このテープタイプの断熱材を貼るといいでしょう。

二重窓をされている場合はサッシ枠は樹脂製になるのでこの対策は不要です。

 

断熱シートでさらに高い断熱性を求めて

断熱シートの施工後

窓を丸ごと断熱シートで覆ってしまいます。

この方法では、窓が開けられなくなってしまうことと引き換えに、空気の層を窓全体で作ることで通常の使い方よりも優れた断熱効果が期待できます。

さらに、窓の構造上完全にすき間を無くすことが難しいという設計上の問題も、オールビニールで覆うことでほぼ完全に密閉が可能です。

 

断熱シートの取付

インプラス(内窓)をすでに設置している状態。この白い窓枠に断熱シートを貼り付けます。

内窓インプラス

 

窓の外枠のサイズに合わせて断熱シートを切り貼りします。断熱シートの施工中

 

断熱シートは夏には取ってしまうので、粘着跡が付きにくい養生テープ(青色)で貼り付け。断熱シートの施工後

これで完了。作業自体はとっても簡単。

今まで近づくと冷気を感じていたのですが、他の場所と比べても温度差が少なくなりました。

 

他の有効な対策

調べている中で、実際試しはしませんでしたがこれもいいなと感じたものをまとめてみました。

 

マルチヒーター

こちらはヒーターなので電気が必要ですが、特に結露に対してかなり効果が高いようです。

暖房器具で石油やガスファンヒーターを常時使われている人は、燃焼と同時に水分も生成されるので結露が大変なことになっているはずなので、こういう商品が効果的です。

商品写真に電気代も付いていたので貼っておきます。1時間で1.3円~ということで安いですね。

マルチヒーターの電気代

 

こちらはビフォーアフター。
かなり魅力的な商品ですが、本体価格が1万円以上するのでそれがネックでしょうか。

マルチヒーターの効果

 

あったかボード

こちらは床を伝ってくる冷気を防いでくれるパネルで、窓際に置いておくと底冷えに効果があるそうです。素材も発砲ポリエチレンという断熱性の高い素材を使用しています。

使用例としてはこんな感じで窓の前に置くと効果的。

あったかボード使用例

 

足元の周りや扉を囲うのもでも有効です。

あったかボード効果

 

断熱カーテン

こちらは断熱カーテン。Amazonでベストセラー1位を獲得していたので、効果も期待できそうです。

パッケージ写真を見ると、今回のDIYと通じるところがあり、窓の冷気にフタをしてしまおうというものです。

断熱カーテンの効果

これだったら窓も開けられるし、見た目も気にならないし良かったのですが、カーテンレールが必要とのことで断念しました。

 

窓の断熱まとめ

いきなりですが、今回の対策を実地してからかなり体感温度は上がりました。

二重窓については2年程前に取り付けたものなので取り付け前後の検証はできていませんが、体感的には断熱シートを取り付けた時よりも、二重窓を取付けた時の方が断熱に対する感動が大きかったです。

 

すき間風や冷気が流れ込むことが無くなったこの部屋の保温性能は格段に向上しており、必要最小限の暖房で過ごせるのも今回の断熱対策のおかげ。

 

これまでいくつか寒さ対策をしてきましたが、ベースにこの窓断熱をしているので相乗効果により非常に効果的になります。

 

今回の対策をぎゅっとまとめるなら

まとめ・余裕があるなら二重窓は絶対おすすめ!

・窓を開けれなくても良いなら断熱シートは窓ごと覆った方が効果が高い!

 

という2点はお伝えしておきます。

それでは、快適な冬のインドアライフを!

 

2017/12/20